Q&A


  ■アドリブの練習方法を教えて下さい。
質問:ある専門に通う生徒である僕は最近、コードに対してのモードアプローチ
というのを勉強しました。それは、とても理解しがたいスケールの名前が
出てくるものでした、オルタード、リディアン♭7、ミクソリディアン。
一定のブルース進行に合わせてインプロヴァイズをしていく、といった内容
だったんですが、ところどころ決めフレーズがあるものでした。
最初はブロークンコードを練習していったんですがポジションを覚えても
全く演奏が出来なくて、コードが変わったのにも気づかずにただ適当に
スケールを行ったりきたりすることしかできませんでした。譜面を見ると
指板が見えず、指板を見ると譜面が見えず。自分が練習してないのは
丸分かりなんですが、最近スケール練習をただ漠然とやっていると、
とてもつまらなく、これは本当に良いフレーズを生み出すための練習なのか
疑問を持ってしまいます。
つまるところ自分でカッコいいと思えるフレーズが弾けないのです。
オデッセイのころの王者の教則を見たのですが、ほぼインプロヴァイズで
ブルースも弾きこなしていました、彼のようにインプロしつつ、カッコいい
フレーズが弾けて、尚且つ速く、そしてコードプログレッションも
出来るようになるにはどんな練習法が適しているのでしょうか?
良くバックにコードを鳴らして練習すると聞きますがそれではモード的な
アプローチは出にくいのではないでしょうか?
何も出来ないと何もしたくなくなってしまう今日この頃です
(from 負け犬さん)

回答:こんにちは、負け犬さん、、、、っていうかこのハンドルだと
凄く挨拶がしづらいです!m(_ _)m まぁ負け犬さんの正体は判ってますので
ちょっと個人的な文章で書かせていただきますね。m(_ _)m

文中から察するにとても落ちこんで悩んでいるだと思いますが、
僕は「打たれてもへこまず再び立ちあがる」、ということと
「音楽を勝ち負けで考えない」ということを自分の音楽観としてとても
大事に考えています。本気で何かをやろうと思ったら難しいことがあるに
決まっています。「すぐ出来るアドリブのコツ」なんて存在しないのですよ。
人によってはアドリブは習っても出来るようにならない、という位
重くアドリブというものを捉えている人もいる位です。最初からいきなり
アドリブを弾けるかっていったらそれは無理ですよ正直言って。

例えばペンタトニックでアドリブがすらすら弾けるって思っても、
「美しく弾けるか」と言われたらそれはわからない訳ですし、
じゃあ何が美しいのか?ヒットしたから美しいのか?それもわからないですし、
ヒットしない音楽は美しくないのか?それもわかりません。
だから音楽家は自分の中に美的感覚が無いといけないと思います。
自分が美しい!と信じる物を真摯な姿勢で演奏する、これが大切です。
音楽に勝ち負けはありません。アドリブが出来なくったって、とても
美しいメロディーを奏でる演奏家は沢山います。逆にアドリブは出来ても
譜面をきっちり弾けない演奏家もいます。でも、正直言って「だから何?」
って感じですよ僕的には。「何々が出来る」なんていうのは作業にしか過ぎなくて
音楽は〜が出来るではなく、〜がかっこいい、の世界だと僕は思います。
我々は想像して、創造するのです。決して出来るか出来ないかだけではありません。

それを前提として、以下自分のお勧めの練習方法や考え方を述べます。
まずですね、モード奏法っていうのはコード進行は考えないんですよ基本的に。
今回の質問は「コードチェンジを単音のメロディーで表現する」っていう話だと
思うんですね。だから一回モードの話は頭から削除して下さい。
ちなみに、この音楽ジャンルは基本的にジャズです。質問文にイングヴェイの話が
書いてありますが、イングヴェイはこれから説明するアプローチは基本的にしません。
イングヴェイっぽく弾く時と、ジャズっぽく弾く時は「頭の中を別に考えて
弾かないと駄目」です。関連付けしようと思ってもなかなか上手くいかないものです。
じゃあイングヴェイはジャズは弾けないんですか?とか質問しないで下さいね。
K-1とPRIDEみたいなもんです。K-1選手とPRIDE選手どっちが強いんですか?とか
質問しても意味ないでしょう。好きな方をやれば良いのです。

さて、コードチェンジの話ですが、
例えば、G7から、C7にコード進行があるとしますよね。その時に、自分が
弾くメロディーによってこのG7→C7を「強く感じさせる」ようなメロディーラインを
考察する、という話なのです。仮に、バックにコードが鳴っていなかったとしても。
トリオのジャズとかあるじゃないですか?ベースとドラムだけ鳴ってて、その上で
アドリブをする時にはなるべくコードの進行をはっきりと強く感じさせるような
フレーズを弾きたい訳ですよ。そういう時にはコードの構成音だけではなく、
オルタード・テンションと呼ばれるサウンドを緊張させる音を使ったりします。
で、どんなテンション音が混ざるかということでスケールの色んな種類があるんですよ。それはしっかりと覚えないといけませんので、頑張って覚えましょう。
さらに、ジャズには典型的な「歌いまわし」というのがあります。音楽ジャンルによって色々歌いまわしがあるわけなんですが、ただスケールを弾くだけではなかなか
ジャズっぽい表現にはなりません。やはり個人的にはチャーリー・パーカーのような
管楽器風の歌いまわしを覚えないとどうにもならないと思います。これはスケール練習
というよりも「フレーズ練習」になるのかな、とも思います。ですから、沢山
良いフレーズを弾いて覚えてセッションで実際に使ってみるという経験が必要に
なると思います。僕はそういう練習(?)方法をしています。

また、
・コードが変わったのにも気づかずに
→音感を鍛えましょう。また、弾くことばかりに気を取られているとそういう事も
起きてしまいますので、常にバックのコード進行を頭に入れながら演奏することが
大事です。コード進行をギターで弾いてみてよく頭に入れるようにしましょう。

・譜面を見ると指板が見えず、指板を見ると譜面が見えず。
→これはギターテクニックの問題です。譜面を見て弾くセッションの場合は
指板を見ないと弾けないような状態ではどうにもなりませんから、指板を
見ないでもギターが弾けるように心がけて日頃から練習するということと、
フレーズの移動を縦の移動を使うと良いでしょう。イングヴェイのように
横の移動を多用する動きは細かくコードチェンジがある楽曲には不向きだと思います。

・彼のようにインプロしつつ、カッコいいフレーズが弾けて、尚且つ速く、
そしてコードプログレッションも出来るようになるにはどんな練習法が適して
いるのでしょうか?
→ロックの練習とジャズの練習を「別に練習時間を設けて両方ともやる」という
事だと思います。ロックの速弾きとジャズのコードチェンジはあまり関連はありません。
どっちも難しい技術ですから、両方勉強すると良いと思います。

・良くバックにコードを鳴らして練習すると聞きますがそれでは
モード的なアプローチは出にくいのではないでしょうか?
→しつこいですが、モード演奏とコードチェンジは違います。モード演奏の中で
コードチェンジフレーズを弾くこともありますが、基本的にコードチェンジは
コードチェンジ、モードはモードなのです。そして、その多くはジャズで用いられて、
ジャズのコードチェンジはチャーリー・パーカーのような歌いまわしがあるのです。

困難なことがあっても、負けずにやることが重要です。音楽の技術的な事で
悩むってとても良いことだと思います。頑張ってめげずにいきましょう。では!

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