Q&A
質問:はじめまして。Q&Aの項目はとても参考になるのでいつも
楽しみに見ています。早速質問させていただきたいのですが、
オルタネイトピッキングの項目に、まずカッティングから練習
するとありますが、その際、どのように練習すれば良いのでしょうか?
というより、正直なところ僕はカッティングが一番好きなので、
カッティングのコツはありますか?という質問です。
よく言われるように、「スナップを効かせる」といいますが、
手に付いた水を切る感じ、体温計を振る感じ、etc・・・
何かスナップに特化した練習法があれば教えていただけないでしょうか?
また、どうしても力んでしまう場合、演奏しながら力みをとって
行く練習をするのか、一度演奏を止めて力まない状態を持続できるように
練習するのかどちらが良いのでしょうか?(from IZさん)
回答:はじめまして、IZさん!Q&A見て頂いてありがとうございます!
オールラウンドに弾く、ということを考えた時に、振りの小さい
単音のオルタネイトから大きい振りのカッティングを練習していく
よりも、僕の考え方は振りの大きいカッティングを練習して、その
ピッキングを段々振りを小さくしていって単音のオルタネイトに
していく、というものです。なぜかというと2つの理由があって
「登場頻度」の問題と、「歴史的背景」の理由からです。
カッティングと単音のソロとどっちが沢山ギターフレーズとして
多いか?と言われると圧倒的にカッティングの方が多いです。
だって、ギターソロは無くっても音楽は成立しますがバッキングが
無いと歌の伴奏が出来ないからです。歴史的背景としては
ギターは元々リズム楽器だったので、ギターの効果的な使用法と
いう意味では万国共通でカッティングがメインになるのです。
ですので、プロとしてのギター奏法としてはカッティングは
マスト・アイテムになると僕は考えています。ヘヴィーメタルの
速弾きがやりたくて僕のレッスンを受ける生徒にもカッティングは
必修としてマスターしてもらっています。
例えば、ヌーノ・ベッテンコートはかなりのピッキング巧者
だと思いますが、彼の特徴にソロもバッキングも巧いということが
あげられるんです。こういうギタリストのピッキングスタイルを
僕は推奨させていただいております。
さて、カッティングのコツですが、僕はカッティング以外でも
常に練習時に気を付けている事があって、ギターが巧く弾けない理由は
主に技術的に3つの原因があると考えます。
1・右手の問題
2・左手の問題
3・右手と左手のコンビネーションの問題
例えば、左手に問題があるのにも関わらず、右手のフォームを
いくら修正しても問題は解決しません。典型的な例がアコギのFmコードを
ピック・アルペジオで弾く際に、Fmの3弦あたりが綺麗に鳴ってくれない
ので、強くピッキングしてしまう、という問題です。これは
左手の問題なのですから、極端な話ピッキングはしなくっても良いのです。
で、カッティングの練習に関しては、まずは右手をしっかり安定させる
ということなんですよ。ですから、左手は「練習しなくて良い」のです。
僕は自分の生徒にカッティングを練習させるときに、左手は「ミュート」
の状態にして練習させます。いわゆるブラッシングの状態ですね。
で、この状態でブラッシングの音が「キンキン」したものにならないように
気を付けながらひたすらカッティングをしていくのですが、ここから
先はなかなか理屈では覚えられなかったりします。力を抜け、と言われても
力がどうしても入っちゃうというのが現実です。手についた水を切る感じ、
頭では解っているのにピックを実際に持って弦をピッキングすると
手首が鋼鉄のように硬くなってしまう、という生徒を沢山見てきました。
そこで、僕は生徒に自分の好きな曲を何タイプか用意させます。
で、その好きな曲を流しながらそれに合わせて16ビートでブラッシングを
してもらいます。これがカッティングには一番効果的な練習だと僕は
思います。5分の曲をまるまるブラッシングするのは最初は大変です。
力が入れば汗だくになるし、ピックが落ちてしまったりもします。
それでも、好きな曲なので何回練習しても苦になりません。左手は
ずっとミュートで良いのですから、練習者は右手のフォームの事だけを
考えていれば良いのです。練習時に意識する事はあまり多くないほうが良いです。
あれこれ考えても演奏時には無意識で出来ないと意味がないので
ここでは「ピックを強く持たない」「アップピッキングを大きく」
という2つの項目を挙げさせて頂きます。ピックは強く持ってはいけません。
ピックを強く持つと、音がキンキンします。そこで柔らかいピックを
使って柔らかい音を出しても問題は解決しません。柔らかいピックの欠点は
強弱を付けて演奏しようとしても、ピックが曲がってしまうので強弱の幅が
小さくなることです。極力1ミリ以上の厚さのピックを使って力を抜いて
ピックを持つ事を僕は推奨しています。次にアップピッキングですが、手首の
スナップを使えない人の多くがダウン方向にはピックの振幅を多く取れるの
ですが、アップ方向には下手すると6弦までピックが届いていなかったりします。
なので、レッスンをしながら「もっとアップピッキングを大きく」と声を
かけてあげると段々と手首のスナップが使えてくるようになります。
しかし、そうは言ってもどうしても力が入ってしまうというのが
現実的な所で、そこでどうするのかというと僕は「辞めないで練習を
ひたすら続ける」というのが良いと思います。人によっては調子の悪い時は
練習しないで休む、という人もいるかもしれませんが、僕は楽器の練習は
頭で考えるというよりも体が覚えないと意味が無いと思うんですよ。
なので、力もうがなんだろうが最初はガンガン時間を取って弾く事が重要
だと思います。それでも力んでれば体が痛くなってきて、痛くなれば自然と
休みを取るでしょうし、その一休みした後にギターを弾くと驚くほど
力が抜けて弾けたりするものです。なので「休みたくなるまでガンガン弾く、
一休みしてからもう一度弾いてみる」これがコツかもしれませんね。
但し、あまりにも力を入れた状態を持続しすぎると腱鞘炎になる場合も
ありますので、無理をしない程度に是非試してみてください!
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