Q&A


  ■音楽関係の就職に有利な能力・知識・技術は何ですか?
質問:こんにちは。メルアド変わりました。また質問よろしくお願いします。
私は今大学4年生なのですが、進路のことでかなり親ともめ、
今日やっと話がつきました。私の希望どうり、大学卒業後、
音楽専門学校に行き、卒業後必ず就職すること(ただし学費、
その間の生活費は後で返済すること)、となりました。就職して
自分の時間があまり持てなくなる前に、どうしても音楽の勉強が
したかったからです。音楽で食っていく保証はないわけで、
私は音楽関係に就職することが希望でした(就職しても音楽は続けます)。
音楽専門学校に行くことは、音楽関係の就職の可能性を広げてくれるとも
思い、一石二鳥だと思ったからです。
しかし、親にわがまま・でかい口をたたいた以上、専門卒業後は
なんとしても就職しなくてはなりません。そこでお聞きしたいのですが、
今音楽関係の就職に有利な能力・知識・技術は何だと思われますか。
私の友人に大学中退して専門に行き、卒業後携帯の着メロを作る会社に
就職した者がいて、話を聞いてみると、かなり現状は厳しく、その友人も
ギリギリ(9月ごろ)に専門の講師のコネもあって何とか就職できた、
という感じらしいです。この『音楽関係』という言葉は曖昧ですが、
私は2つに分けて考えています。
@ゲーム会社で音楽を作る・PAの仕事につく・友人のように着メロを作る、
などの『音に携わる仕事』。
A楽器店・CDショップ・音楽雑誌出版社、などの『音楽関係と呼べる
けれど音に携わってはいない仕事』
 友人は@に絞って就活したので、6社ぐらいしか受けなかったらしいですし、
だからこそ厳しかったところもあったのだと思います。しかし私はそんな
贅沢は言っていられないので、@A両方を対象とするつもりです。友人は
『MIDIだけは絶対やってたほうがいい』とアドバイスしてくれました
(友人は専門に行ってからコンピュータで音楽が作れることを知り、
入学後必死に勉強したとのことです)。もちろん『自分が興味のあること』
ということも何を勉強するか決める要素になるわけですが、専門でどの
コースで入学するのか(どの科で入学するのか)・どういう授業を取るのかの
選択で失敗・後悔したくないので、質問させて頂きました。長文大変失礼
しました。どんなことでもよいので、お願い致します。(from らーめんさん)


回答:こんにちは、らーめんさん。ご無沙汰しております。
質問の答えですが、逆にらーめんさんのこだわりはなんですか?
音楽関係の就職、とありますが僕の考えだと音楽の仕事は一般のサラリーマン
の感覚とは全く違うと思います。業種で選ぶものではなく、具体的な「仕事」
で選ぶものだと思いますよ。つまり、「アーティスト」とか、「歌手」とか、
「ギタリスト」とか、「ディレクター」とか、「デジタルコンテンツエンジニア」
とかです。

僕も多くの生徒を指導しているのでこの辺の話は良く解るのですが、一般的に
「音楽の世界に関わりたい」という気持ちでこの世界に入ってくると、手痛い
思いをすることになってしまう確率が非常に高いと思います。
なぜかというと、仮にらーめんさんが本当は「作曲家」になりたいと仮に
しましょう。なのに、ゲーム会社に就職すると、ゲーム会社に入っても有名どころ
の楽曲を「作曲する」のは社員ではなく、外部の作曲家であることが殆どです。
社員には音楽的なスキルではなく、言いたい放題やりたい放題の作曲家の先生と
上手くやっていく術が求められます。(そうじゃない先生も勿論沢山いると思います
が)また、ゲームであれば基本的に在庫を持って販売していくわけですから、
「物」を作ってコスト管理をし、採算分岐点を算出しビジネス的な考え方で
全てを進めていかないと会社は簡単に倒産してしまいますので、年がら年中
そういう事を考えながら過ごすことになるでしょう。その世界は全く音楽的
なものではないです。着メロも同様です。殆どの実制作は外にアルバイト等で外注
しているはずです。僕の生徒がバイトで良くやっていますから。

また、音に関わると一口に言っても本当にやりたいことをやらないとこの音楽の
仕事は収入にするのはかなり大変ですから、中途半端に音に関わるとやりたいこと
はやれない、しかも収入は低いっていう二重苦に陥ります。それだったら、
早く家に帰れる一般の仕事をして空き時間で音楽をやれば良いのか・・・って
気もしてきますが、いいや、やっぱり音楽は人生の喜びだ、自分にとっては例え
やりたいことが出来なくても音楽に関われるだけで幸せだと2〜3年は思えるのかも
しれませんが、やっぱり長く続けているとフラストレーションが溜まってきて自分が
妥協して生きているということが良く解ってしまう結果になってしまうと思います。

考えてみてください。
@本当はギターが弾きたいのに、MIDIの打ち込みをやる
A本当はギターが弾きたいのに、銀行に就職する
@とAは一体何が違うのですか?僕にはわかりません。音楽の仕事とは
言い換えれば「全うすること」だと思います。もし本当にご自分がやりたい道が
あるのであれば、誰が反対しようと誰が止めようとも絶対に妥協してはいけないと
僕は思います。そういうアティテュードこそが音楽の道なのです。
また、そういう人には個性が備わります。例えば真のギタリストがMIDIの打ち込みを
すれば、その辺のキーボーディストには絶対に真似の出来ない独自性のあるMIDIの
技法が完成するでしょう。そういうMIDIエンジニアには仕事があります。
しかし、誰でもやっているような打ち込みでは全国に5万人は同じ事を考えている人が
いると考えられたほうが良いです。ライバルが多すぎでしょう。

ですから、絶対にやりたいことを我儘にやったほうが良いです。妥協はいけません。
意味も無くMIDIなんてやっても一つも良いことありませんよ。MIDIは仕事の為にやる
ものではなく、MIDIで表現したい事があるからやるのです。それで就職できなかったら?それでも、やりたいことを実現するために毎日を過ごすだけです。少なくとも僕はそう
考えて毎日やってきました。今も何も変わりはありません。

一つだけ技術面でヒントをあげると、「耳」が良い方が絶対に何をやるにも有利です。
着メロのMIDIの打ち込みなんて音さえ聞こえれば全然大したことないです。
本格的な生演奏のシュミレーションには遠く及ばない技術ですから。音を聞き取って
制限された音数の中でアレンジする、というのが着メロの仕事です。ですから
絶対音感のある音大生はとても有利ですが相対音感を鍛えれば独学でも十分可能です。
これも目的意識を強く持たないと長続きしない仕事ですよ。何のために着メロをやる
のか?生活の為か?音楽的に向上するためか?そもそも最終的には何をやりたいのか?
そういう「ビジョン」を明確に持ってビジョンへの最短距離の直線を引ける人にこそ
音楽の仕事は見えてくると思います。ちょっとキツイ文章になってしまいましたが、
僕は嘘をつけない性質なので、すみません。頑張ってください!!

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