質問：プロの方ですから、色々な仕事の合間を縫って
自分の練習等をされているのだと思いますが、練習等は
別にして、”曲作り”って創作ですから私の感覚だと、
いついつまでに〜〜と言われて出来るものでは
無いと思うんですよ。プロの仕事には当然締切りはあるんで
しょうが、そういう状況で果たして良いものが出来るんですか？
他に仕事を持ちながら音楽を続ける形であれば、収入は
安定すると思うし、そういうストレスの無い状況で音楽を
やったほうが良いものが出来るような気もしますが、その辺に
ついてご意見をお願いします。（from田中さん）

回答：田中さんこんにちは、はじめまして。(^^)
さて、僕なりの回答ですが経験的な話で言うと締切りを言い訳に
して、曲作りが間に合わない人というのは結果的に良い作品を
作らない人が多いと感じています。それには法則があるわけでは
なくて、単に僕の周りではそういう人が多い、という事に過ぎない
のですが、それは逆に言うと、良い作品を作る人というのは
どんな状況下でも良い曲が作れる「技術的な要因」を持ち合わせている
という事が言えると思います。

技術的な要因の一つですが、良い作曲家というのは常に自分の曲の
「バックストック」を豊富に持っていることが多いと思います。
”俺は常に新規で書きおろす”という人もそれはそれで良いと思いますが
そもそも締切りの為だけに曲を作っている訳ではありませんので、
僕が強く言いたいのは、「曲を純粋に書きたいから書いているので
あって、その意識については職業化・ルーティン化していない」という事です。
ふと何かを思いついたその瞬間をメロディーという形にしていく・・・
そういう創作活動が好きだからこそ、この道に入ったのであって、
”１日で３曲必ず完成させる自信があるから僕を使ってください”、と
お願いして仕事を始めた訳では無いのです。

また逆に僕は神様でも何でもないので、自分の書いた曲はとても気に
入っていますが、僕の書いた曲が音楽的な技巧に優れているかどうか・・・
なんて事をいちいち気にしていません。気に入るor気に入らないという
価値観で判断をする音楽という分野において技巧がどうとか早い時間で
書けるからどうとか、等と判断する考え方に僕は否定的です。
とは言うものの締切りという考え方は存在する・・・そうでなければ
出版する、という仕事が成り立たないんです。CDをリリースするというのは
アーティスト一人の力で出来るわけではなく、何人ものスタッフや関連会社
との協力・連動関係によって成り立っているわけなので、リリースすると
言ったのに「やっぱり間に合わないから発表を辞めたい」なんて言われた日には
契約がどうのこうの、という前に人としての倫理観の問題が生じますよね？

締切りについては様々な意見が飛び交うと思いますが、僕の意見を
まとめていくと、「締切りは必要。でも締切りの為に曲作りをするわけではない。
何故なら創作活動によって飯を食ってはいるけれど、飯を食う為という職業的
意識と観点の違う部分を大事にしているからこそ、この音楽という芸術に挑戦
しているのだから、締切りなんて有無を言わせないほど膨大なバックストックを
持つべく日頃から意識を高く作曲活動に取り組む。」という考えを常に持って
音楽に向き合っています。しかし、作曲だけが音楽ではなく、その他にも膨大に
やることがあるわけなので、１日２４時間では足りない！という状況に
陥ってしまうんですが（笑）

あと、もう一つだけ技術的な要因をあげておくと、僕のように何か楽器を
やりながら作曲/編曲をやっている人って結構多いと思うんですが、
自分のやっている楽器ぐらいは「鉛筆や箸のように」自由に使えるように
しておかないと結構ヤバイですよ。ギタリストがギターパートを作るのは
簡単なのです。しかし、ギタリストがドラムパートを作る、という話になれば
話はいきなり難しくなってきます。ドラムパートの作り方、については話が
別角度になってしまうのでまたの機会にしますが、せめて自分の楽器位はスイスイ
思ったように弾けるようにしておかないとまずい、という事は確かですね。

最後にストレスの無い状況って確かに魅力的ですが、生きてると誰でも
悩みとかストレスとかってあるんじゃないですかね？人間が同じ場所に二人存在
するだけで二人個別に考えている事は全く同じでは無いと思うので、実社会に
なればなおさら「それぞれの事情」があるでしょうから、ストレスは溜まると
思うんですよ。だからプロでなければ必ずストレスが無い、とは言えないと
思うのと、音楽にはある意味ストレスから自分を解放する「潔さ」が必要かも
しれないと感じています。瞬発力のような物ですね。以上、僕なりの意見で
恐縮ですがまとめてみましたので、参考にしてみて下さい！！！(^_^)

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