Q&A


  ■加茂さんはアマチュアの時はどんな事をしてたのですか?
質問:初見の件はありがとうございました。クラシックの譜面を
探してみます。ところで加茂さんは、プロのギタリストになられる
までどのような事をなされてきたのでしょうか?アマチュア時代
から初仕事の事などを聞かせていただけないでしょうか?
僕もプロギタリストを目指しているので参考までに是非聞かせてください。
(from モンクさん)


回答:こんにちは、モンクさん!クラシックギターはなかなか
手ごわいですが是非頑張ってください。

僕のアマチュア時代の話についてはコラム「Musiary」にも
ぽろぽろと書いてますので見ていただけるとリアルな話が(笑)
書いてあると思いますよ。

なんとな〜く思いつくままに書くと、僕はギターを始めた当初は
プロギタリストになる気は全くなかったんですよ。大学生の時の
僕の売りは「要領」だったんですよね。テストで良い点をキープ
しつつ、音楽もそこそこ、遊びもそこそこ、って感じで人生に
おいて物理的に困ったことは大学時代はそんなにない、
みたいな学生でした。

そんな僕がプロを目指そうと思ったきっかけがありまして、
僕は応用数学科という学科でコンピューターと数学の勉強を
していたのですが、授業にも大して出ていないのにとにかく
テストだけは本当に出来たんですよ。で、僕の友人は勉強を
しっかりとやっているのに、要領が悪かったのか、テストの点
はいまいち・・という友人を僕は最初はそれじゃダメなんじゃ
ないかと思っていました。でもある時、僕は例えテストの結果
が悪くても、将来性のある人間は僕よりも友人の方なんじゃないか
と思い出しました。僕の数学家としての存在感は「軽かった」
んですよ。吹けば飛んで行く、みたいな。

それを象徴するエピソードが、僕はギターを弾いていて最初から
指は動いたんです。特に左手の指に動きに関しては、ワイド・
ストレッチ以外は特に悩んだ事が無くて、(音楽的表現力では
なく、あくまでも指の神経の問題ですよ。)そういう事もあって
アマチュアの活動として、大学のサークルの活動としては僕は
自分のギターに(実にくだらない発想ですが)完全に自信マンマン
だったわけです。そんなある時、音楽を全くやっていない、
音楽をそんなに聞いたことも無い友人の家に招かれて僕はギターを
持って遊びに行きました。で、友人の前でギターを弾いたんですが、
その時の彼のコメントが未だに僕は人生の教訓として忘れられないのです。

「へぇ、君、器用なんだね〜。」

この発言が無かったら僕は今プロとして活動していないと思います。
僕は初めてその時に僕のやっていることは勉強も音楽もいかに軽い
ものしかやっていないのか、人生のディープな部分から目を背け
見た目の華やかさだけで物事を見つめ、本質を捉えていないのか、
ということが良く解ったのです。特に、僕の友人が音楽をそんなに
聞いていない、というところがまたポイントだったのです。
友人はギターを知らないからそんな事が言えるんだ、と逃げるのは
簡単なのです。しかしながら、音楽の良さというのは誰にでも楽しめる
というものではありませんか?僕はそういう一定の解る人にしか
解らない音楽があるというのも十分に理解はしていますが、僕自身は
誰にでも楽しめる音楽をやりたいと思っています。それはアマチュア
時代からそう思っていて、だからこそショックだったんですよね。

それからの活動というのは僕は特にしていません。それまではバンド
を組んで大学のサークルでライブ活動したり、ジャズ系やブルース系の
セッションをしたり等、ぱっと見た感じのフレーズ等は簡単にマスター
出来たので、結構幅広く活動していたと思いますが、僕は自分の
音楽家としての人間としての存在感がいかに薄いかということを知り、
それからは家に篭って、”ただひたすらに練習をする”という活動に
切りかえました。毎日毎日同じフレーズを何回も練習しました。
それ以外特に何にも秘密はないのですが、とにかく毎日繰り返し練習しました。

それから数年後、僕は今の所属事務所のオーディションを受けに行きましたが、
僕は自分の演奏を聞いてもらっていないのに、社長は僕を見るなり
「貴方はプロデューサーになりなさい」と言われました。僕は自分の
音楽家としての存在感が若輩者ながらも、ハードな練習を何年も
積んだことによって少しは増したのかな?と自己分析しています。
勿論、今でも僕は自分のプレイに、表面上の指の動きとかそういう
ことではなく、不満が沢山あります。だから当時とは違いますが、
今でも僕なりの練習をしていて、より音楽家として向上して存在感の
ある人間になりたいと思っています。だから、そういう意味では何にも
活動していないんですよ。(^^; 何かの参考になれば幸いです!

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