■アレンジをする時に一番力を入れる所はどこですか? |
質問:お久しぶりです。この頃とても寒いので、風邪をひいて
しまいましたー。大晦日は、さまざまなイベントが目白押しですね。
目移りしてしまいます。おーっと、話が長くなりそうでした。
今とても音楽に惹かれているところでーす。お聞きしたいのですが、
加茂さんが曲をアレンジする時、一番力を入れるところはどこですか?
(from サッカー&格闘技大好きギタリストさん)
回答:どうもどうも!!大晦日の格闘技イベントに関しては
「男祭り」で決まりでしょう。こないだのK-1にははっきり言って
失望しましたからね。K-1ファンから撤退しようかと思っている
今日この頃です。サッ格ギターさん(随分省略したんですが(笑))
も是非男祭りを見て大晦日は燃え上がりましょう!
さて、アレンジですね?アレンジャーとして仕事をする時の僕の
アレンジの仕方をざっと書いてみると、まず、作曲家もしくは
プロダクションからメロディーの譜面(Cメロ)をもらいます。
ファックスでもらう場合と添付メールでもらう場合と、最近の
作曲家の場合だと、MIDIデータでもらう場合なんかもあります。
作曲の時点でメロディーにはコード進行がついている場合が多い
ですが、アレンジの中でコード進行をいじってもいいのかどうかは
一応作曲家かプロデューサーに確認します。
ここからアレンジ作業に入っていきますが、まずCメロをじっと
見て、歌ってみます。そうすると、メロディーの持つ個性という
ものが体に入ってくるような感じがします。そう、僕はアレンジに
おいて、「〜〜な感じ」というイメージをとても大事にしています。
メロディーに対して、あるイメージが浮かんだら、そのイメージを
具体的な音として表現する事を考えます。まず、音楽ジャンル。
どういうジャンルのアレンジがメロディーの持つ雰囲気に合うのか。
なので、普段から勉強する時に沢山の音楽ジャンルを理解するように
しています。現代的な曲を書こうと思ったら、やはり弦(ストリングス)
アレンジと、テクノサウンドを生かしたアレンジは必要かなと思います。
ジャンルがある程度絞り込めたら、次はどういった楽器を使って
アレンジするかを考えます。ここで重要になるのは、「その楽器らしい
フレージング」を知らないとアレンジは難しいということです。
例えば、管楽器を使ったアレンジをしようと思ったら、管楽器らしい
フレーズというものがどういうものなのかを知らないと管アレンジは
厳しいですし、ギターアレンジをしようと思ったらギターらしいフレー
ジングを知らないと非常に厳しいと思います。
楽器が決まったら、和音を楽器に弾かせていく(譜面を作る)わけですが、
ここで重要になるのが、「コード・ボイシング」です。例えば、
ピアノでCmaj7コードを弾くといっても、エレクトリック・ピアノと
グランド・ピアノではコード・ボイシングを変えます。単にドミソシと押さえる
だけではボイシングが美しく響きません。楽器ごとに美しく響くボイシング
を発見し、アンサンブル全体として良い感じに響くハーモニーを組み立てます。
あと、アレンジの仕事の一つの醍醐味に「イントロとエンディング作り」という
のがあります。イントロというのはそれを聞いただけで「グッとくる感じ」を
リスナーに与えられるようにしなければなりません。メロディーの持つ個性的
なラインからイントロをどうやって想像していくか?というのがアレンジャーの
一つのチャレンジでもあります。エンディングや間奏も同様ですね。
とにかくヒントはメロディーのCメロの中にあると僕は思っています。
最後に・・・アレンジを沢山沢山やっていると、どのアレンジも似たような感じ
になってしまう・・・という悩みを良く聞きます。これを避けるには自分の得意
なパターンばっかりで楽曲を作っていると、いつかそうなってしまうのかな・・・
と僕は思います。やはり、自分の今まで聞いた事がない音楽にどんどん興味を
持って好奇心旺盛に勉強をしていくことかなと思いますね。あと、一曲の中に
自分を出し過ぎない事です。アレンジとはメロディーを生かす事なので、決して
アレンジャーが出すぎる事ではないのだと思いますから・・頑張って下さい!!