Q&A


  ■トップギタリスト達のようなフォームに改善したいのですが・・・
質問:こんにちは!偶然このサイトにたどり着きました!
それで加茂さんを知って今日
本屋で「速弾きが上手い理由下手な理由」を見つけ
買っちゃいました!
それでいろいろ質問あるんで回答よろしくです!
僕は今ピッキングフォームの改善したいと思いまして、
いろいろとトップギタリスト達のフォームを研究したら、
大村孝佳さんのフォームみたいにしたいと思いましたが、
彼は手首というより指がグニグニ動いています。
マスターするにはどうしたらいいですか?(from ヒロキさん)

回答:ヒロキさん、はじめまして。
この度は、僕の本を読んでいただき、ありがとうございました。
お役に立てば幸いです。(^^)
このサイトのQ&Aは7年前に始めた頃はまだ体力的にも
更新していける余裕があったのですが、現在はというと
かなりスケジュール的に厳しい状況になってしまいまして、
殆ど更新が出来ず、そのため、トップページからのリンクを
張らず、ひっそりと出来る範囲で運営しているというのが実情です。

コラム等については、今毎週の連載で、ギター・マガジン・オンライン
の中にある「加茂フミヨシ式 ギター・トレーニング」という
コラムをやらせていただいておりますので、そちらも是非ご参照
いただければ幸いです。

さて、ご質問の回答ですが、大村孝佳さんの音楽を僕は聞いた事が
無いので、コメントが出来ないというのが実際のところです。
このQ&Aは、質問に答えられない事も正直にお話する、ということで
これまで7年間運営して参りました。以前にも、同じような回答を
せざるを得ない事もありましたが、どんな回答に関しても、それが
教科書的な答え、ということではなく、いちミュージシャンとして
僕がそう感じている、という風に正直に話してきました。
是非ご了承いただければと思います。

実は、僕はフォームを改善、とかそういう考え方は
あまり好きでありません。これは最近常に言っています。
何故ならば、フォームというのは、それぞれ「骨格」「筋力」
「指の長さ」「体の大きさ」等の要素が混じり合って決定されるので、
誰々のようなフォームを真似して・・・という方向性が、必ずしも
皆さんの求めている方向にいくとは限らないからです。

従って、僕は自分の著書でもフォームについてはまず「脱力する」
ということを基本に、また、「多様な音楽ジャンルに対応出来るように」
という事を基本に書いてきました。「速弾きがうまくなる理由〜」に
関しても、アコギを演奏する、ジャズを演奏する・・・という事まで
想定してピッキングやフィンガリングの話を書いていますし、
(実は、まだこれはどこにも公開していない情報なのですが)今アコギの
教則本を執筆していて、近日中に発表させていただくのですが、
そこでは、「エレキを弾くことも想定したアコギの弾き方
(エレキもアコギも両方弾ける)」という事にも言及しています。

で、フォームを改善・・・というのは僕は好きでないのです。
どうして好きでないのか、じっくり考えてみました。そう、「改善」という
言葉がどうも好きでないのです。何かヒロキさんの弾き方を否定している
みたいな言葉の響きがあるように感じられるんですよ。僕がヒロキさんと
同じ身になったら、全く知らない他人から「こういう風に改善したほうが良いよ」
とか言われたら、「ふざけんな、俺はやりたいように勝手にやるんだ!」と
本当に思っちゃうんですよね。こういう音楽がやりたいから、こういう音を
出したい・・・という中で、自然と弾き方が身についていく、という状況が
望ましいと思います。フォームは弾き心地、というよりは、音色と
密接な関係があります。それから、リズム等も変わってくると思います。

今の音楽シーンでは、ロックっぽくイントロが始まったのにいきなり
ダンス系のサウンドになって、ソロはジャズっぽい・・・みたいな事も
普通にあります。なので、ピッキング一つにしても速く弾く、という事
以前に、そういう音楽シーンの変化ということもイメージして執筆させて
いただいています。「速弾きがうまくなる理由〜」がもし参考になれば
大変幸いです。

僕が何故本を書くか・・・というと、多分著者の方の中でも
風変わりな方なのかもしれませんが、「情報公開」という意味が強いです。
”オープン・ソース”って考え方ご存知ですか?IT系の用語なのですが、
普通、何か自分にとって重要な情報を持っていたら、それを一般公開
するのをためらう・・・というのが人間の心情ですよね。
しかし、オープン・ソースの考え方はこれと間逆で、自分が現時点で
持っている知識・技術をためらわずに外に発信する事で、その情報を見た方が
「さらに発展した知識・技術を生み出す」ということが狙いとしてあります。
これで発展したのがオペレーティング・システムの「Linux」です。
僕は、音楽コンテンツの制作をやっていた時にLinuxの制作者が持っている
オープン・ソースのマインドに感銘を受けました。
それが、僕が本を作っている原動力であり、動機です。「速弾きがうまくなる理由〜」を
読んで、僕よりも数段上のテクニックを持った驚異的な新人が世の中に出てきて、
新しい観点のギター・プレイを発表して欲しい・・・という願いがあるのです。
そうでなければ音楽は進化しません。このQ&Aにも、ギター・マガジン・オンライン
にも、そういうマインドがあるんです。リットーミュージックの皆さんは、こんな
風変わりな僕の話を聞いてくれた上で、いつも仲良く付き合ってくれているので、
大変嬉しく思っています。

「フォーム改善」というのは「レッスン」の方向性だと思います。
ですが、僕がやりたいのは「未知なる文化の創造、新しい文化への貢献」です。
だから、僕は本も書くけど、ピアノ曲も作曲するし、打ち込みもやるし、
デジタルコンテンツも作ります。1998年に、あるプロジェクトで日本で初めて
音楽コンテンツの有料配信を行った時はかなりエキサイティングな気持ちになれました。
(今のiTune StoreやYoutubeのシステムを10年以上前に模索していた時期があるんです。)
ちょっと話が反れてしまいましたが、フォーム関連の事はレッスンプロの方に
問い合わせると、僕よりも数段上の知識を持っていると思いますよ。
僕は、そういう方向性に進むつもりは現時点ではありませんので、多分ギターの
本を書いている著者の中では、かなり異端な存在だと思います。

最後になりますが、大村孝佳さんの事は僕は直接お会いした事が無いので
存じ上げませんが、素晴らしいギタリストだと思いますので、是非
ライブ等に足を運んで生の音を聞いてみたらいかがでしょうか。
単に指が動く・・・とかそういう次元ではない所にもしかしたら秘密が
あるかもしれませんよ。是非、研究してみてください!!

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