<Guitar(ギター)研究>

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アドリブソロ・メソッド(vol.1)

解説作成 :加茂 フミヨシ


<研究内容> 僕がアドリブでソロを取る時に、基本的に
頭の中で想定している理論的な事を書き綴ってみました。
本番の演奏では実際の所はアドリブ中は何にも考えて
いないのですが練習中等には意識している事を書いて見ます。
仕事の合間に書いているので、多分全部は書ききれないので
あくまでもボリューム1、ということで(笑)

@<ロック・バンドにおけるソロアプローチ>
A<ポップな楽曲でのソロアプローチ>
B<ジャジーな楽曲でのソロアプローチ>
C<泣きのギターを弾く時のソロアプローチ>


@<ロック・バンドにおけるソロアプローチ>
基本的に僕は、ロックバンドでのギターソロの役割という
ものは「アグレッシブな感情」というものを表現したい
と考えています。だから、とにかく「チマチマ弾かない」
ということを基本的に考えます。ペンタトニックスケールを
使ってブルージーに弾く場合もありますが、ヘヴィーメタル
っぽい弾き方をする時はハーモニック・マイナースケール等を
使って速く弾く時もあります。しかし、とにかく「綺麗に弾く」
とはあまり考えません。ソロプレイがワイルドなものになって
いるか?熱い感情を表現できているか?リズムのノリが良いか?
そういう事を第一に考えてフレーズを弾きます。音圧も欲しいので、
ピッキングはパワフルにしていきます。しかし、力を入れて
ピッキングするという意味ではありません。ピッキングの弦に
当たる速度をシャープで切れのあるものにしていくという意味です。

場合によっては4弦〜6弦は全ての音をミュートをかけて
速いスピードでフル・ピッキングする時もあります。そうすると
音抜けが明瞭になり、かつパワフルなサウンドが得られます。
また、ロックの曲はバックのコード進行が「Aコード一発」とか
「Amコード一発」とかになることも多いので、そういう時は
モード奏法を考える事もあります。
ディストーションサウンドの場合は、クリーンサウンドに比べて
音程が不明瞭になるので、少々癖の強いモードを使っても
そんなに問題が起きないでしょう。ドリアンモードや
ミクソリディアンモードはロックではお馴染みだと思います。
しかし、ディストーションが強すぎると何を弾こうとしている
のか本当に解らなくなってしまいますので、極力、歪みの音は
控え目にしつつ、ノイズを少なくするようにミュートをしっかり して、
ノイズより大きく出音が明瞭に出るように正確にピッキング
をするように心がけます。極力、ジミ・ヘンドリックスのテイスト
が出てくればいいなぁ〜〜(笑)、と思って弾いています。
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A<ポップな楽曲でのソロアプローチ>
ポップな曲(ここではバラードも含みます)は、ロックよりも
ハーモニーが複雑で、コード進行が難しかったり、バッキングの音が
ギター、キーボード×3本、ストリングス、パッド等と沢山入って
いることも多いので、勢いだけで弾くとハーモニーとぶつかって
しまう場合があります。ロックの場合だとハーモニーとぶつかっても
そのぶつかっている不協和音自体がかっこいい!という場合も
ありますが、ポップスの場合はバックのハーモニーに注意するように
しています。まず、ダイアトニック・コードとノン・ダイアトニック
コードに注意して、特にノン・ダイアトニック・コードが出てきた
時は極力、ブルーノート・フレーズを使って乗り切るようにします。
勿論、ノン・ダイアトニック・コードに合ったコードスケールは
存在するのですが、そうすると楽曲のテイストがジャズの方向に
行ってしまいますので、出来るだけトーナリティーを確保したいので
1つの調性上でフレージングするようにします。

次に、ポップな曲はロックと違ってサウンドが軽い事が多いので
そういう曲では僕はピッキングを少なめに極力左手のレガート奏法を
使って弾くようにしています。フル・ピッキングソロとかは曲の感じと
合わないケースが多いかな、と思っています。ハンマリング、プリング
スライド等を積極的に使います。また、場合によってはハモリのギターを
弾く事もありますが、ハモリのギターにおいてビブラートをぴったり
合わせて弾かないとかなり悲惨な不協和音が出現するので、1本目に
弾いたギターの音を良く聞きながらビブラートを正確に合わせていく
ようにします。ジェイ・グレイドンのようなテイストが出せたら
いいなぁ〜(笑)、と考えています。
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B<ジャジーな楽曲でのソロアプローチ>
ジャジーな楽曲の多くに、どんどんKeyが変わっていくというコード
進行が見られます。曲中にいろんなKeyのU-X-Tコード進行が
出てくる事が多いです。そういう場合だとさすがにスケールを
どんどん変えて弾いていかないとコード進行に合ったフレーズが
弾きづらいので、いや、ジャズは単音のソロがコード進行を表現する、
というのが面白い音楽だと僕は考えているので、極力そういう方向で
ソロを取るようにしますが、まずはコードのブロークン・コード
(分散和音)をいかなるポジションからも弾けるようにしていきます。
ギタリストはコードネームの初見は得意な事が多いですからそういう
感覚で、コードネームを初見しているつもりですべてのコードの
ブロークン・コードを弾いていきます。メジャー7th、マイナー7th、
ドミナント7th、ディミニッシュ、に関しては特に重要なコードなので
ネックの端から端までブロークンコード可能な状態にしています。

しかし、それだけではフレーズには対応できないので、僕はコード
ネームに対する反応速度を上げる為に、パット・マルティーノの提唱
する「マイナー・コンバージョン」というアイディアを使っています。
簡単に言うと、全てのコードをマイナー7thコードの代理コードだと
想定して弾くというものなのですが、基本的には、
CM7=Am7
C7=Gm7またはD♭m7
Cm7(♭5)=E♭m7
と考えます。すると、メジャー7th、ドミナント7th、マイナー7th(♭5)
どのコードが出てきても結局はマイナー7thらしいフレーズを弾けば
良い という事になりますが、ここで、何を弾くか?という事なのですが
僕はドリアンスケールとメロディック・マイナースケールはネックの
どのポジションからでも弾けるようにしています。ちなみに僕は
Dドリアン=Cメジャースケールを並べ替えたもの、とは考えていません。
Dドリアン=Dナチュラル・マイナー(#6)と考えています。
とにかくドリアンとメロディックマイナー、あとはコンビネーション・オブ・
ディミニッシュ・スケールと、ハーモニック・マイナーPerfect5th belowは
かなり使いますね。この考え方にプラスして、クロマティック・アプローチ
をかなり使う事 と、別件でU-Xフレーズを沢山覚えるようにしています。
出来るだけ、ラリー・カールトンやジョン・スコフィールドのような
テイストが出せたらいいなぁ〜、と思っています。
(良く考えたら全部”いいなぁ〜〜”、じゃねーか!!)
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C<泣きのギターを弾く時のソロアプローチ>
泣きのギターはロックだけでなく、歌謡曲や演歌でも使いますし、
ポップな曲でも使う事がありますので、ギタリストにとって求められる
事が多い表現方法だと思います。やっぱり、チョーキングですね。
速いチョーキングからポルタメント・チョーキングまで、ありと
あらゆるチョーキングが使えるようにしておかないといけません。
また、泣きのギターの時は意外とバックの音が薄い時もありますから
フレーズにノイズが混じったりしたら最悪です。例えば1弦をチョーキング
するときに2弦が巻き込まれて2弦の音まで鳴ってしまう、とか
1弦をチョークダウンするときに何故か3弦の開放弦が鳴ってしまう、
とかは絶対に避けたいです。

チョーキングは、まぁ良いとして次に最も重要なのはフレーズが
歌うかどうかですね。これは全てのジャンルで言える事だと思いますが
アドリブフレーズが歌っていなければいくらすごいプレイが入って
いても僕にとっては「NGテイク」です。フレーズが歌っているというのが
OKテイクの判断基準です。ブルースを通して磨き上げたコール・アンド・
レスポンスの考え方を基本にしてフレーズをどんどんつないでいきます。
作曲における「フレーズを練りあげる」というのとは違います。
僕はアドリブとはフレーズをつないでいくことなのだと思います。
どんなにスーパーフレーズを曲中で決めてもその前後のフレーズがカッコ
悪かったらやっばりアドリブとしてカッコ悪いんだと僕は思うんですよ。
ゲイリー・ムーアのような泣きのメロディーを生み出せたらいいなぁ〜
(笑・もう定番になってしまいました。。)と思っています。
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