即興演奏〜インプロヴィゼーションというのは実に奥の深いもので、
要は適当に感じたままにソロを弾いていくのですが、「適当」とは、
「適切に」=「サウンドに合っているように」でなければ当然かっこ
悪いわけですから、適当といっても何にも考えていないわけでは
ないのです。僕ももともとはクラシックの教育を受けて音楽を始めて
いますので、どうしてもこの「譜面が存在しないモノ」という感覚に
なじめず苦労しました。今までで一番苦労した即興演奏は、
「スロー・ブルース」というジャンルですが、今回紹介するジャズ・
フュージョンという音楽もまた、インプロヴィゼーションとしてかなり
難しいものです。
2004/06/26 On Air
COMRADE SELECTION テーマ「Jazz/Fusion」
1・STRAIGHT NO CHASER(MIKE STERN)
2・MOMENT'S NOTICE(MIKE STERN)
3・SLAM(DAVID SANBORN)
4・TOUGH(DAVID SANBORN)
マイク・スターン。僕は彼のライブを見て度肝を抜かれました。
とにかく、メカニカルにびっしりと埋まった8分音符のアドリブを
物凄いハイスピードで弾き倒していくのです。音色に関しては
ジャズには珍しく普通のエレキ・ギターにコーラスを軽くかけたような
サウンドが中心ですが、そのアドリブ・フレージングはとにかく
息が長い!要はずーっと休符が無いまま弾きまくるというもの
なのですが、ジャズのアドリブは基本的に楽曲のコード進行を表現
するような音使いがジャズらしいと思いますが、そのためには
自分の弾いている音とコード進行の関係を出来るだけ把握しながら
演奏しなければなりませんが、マイクスターンのフレーズは
本当に途切れないので、一体何を考えながらこの人はフレーズ
を弾いているんだ?と思います。リアルタイムにコード進行を
感じながら息の長いフレーズを弾くのは難しい事だと思います。
テンポもかなり速いので、フレーズを綺麗に弾くだけでも相当な
テクニックを要するのですが、マイクスターンはなんと笑顔で
ステップを踏みながらノリノリで高速パッセージを弾きまくります。
ライブを見ている方もあれだけ楽しそうに弾かれるとなんだか
楽しくなってきます。たまに何故かジミヘンのフレーズが混ざる
所もまた楽しいです。 しかし、実際にやられていることは息の
長い途切れないフレーズが連発されているので、びっくりですね。
デビット・サンボーンのフレーズは良く歌う!ブルース・ギター
を聞いているような気分にさせられるほどメロディアスな
フレーズを連発します。アドリブフレーズにおいてメカニカルな
パッセージもとても難しいものですが、もっとも難易度が高い
のは「歌うアドリブ」ですね。僕はアマチュアの頃にとにかく
スロー・ブルースになると何を弾いたらいいか解らなくなって
しまって結果的に無駄な速弾きを連発してしまってつまらない
アドリブを弾いていたのですが、「楽器で歌う感じ」という感覚
が掴めるまでは相当時間がかかりました。ピッキングのテンポ
をあげるよりも何十倍も難しいテクニックだと思いますし、
基本的に全てのプレイヤーは歌えないと駄目なのだと思います。
デビット・サンボーンに関しては楽曲をプロデュースする
マーカス・ミラーも良い仕事をしていると思います。やはり
バックのサウンドが醜くてはアドリブをやる気にならないです
から。よーし、弾きまくるぞ!と燃えるような感じをうまく引き出す
プロデュースになっていると思います。
COMRADE SELECTION第6回目をお送りしましたが、作りこんだ
メロディーも素晴らしいですが、情熱溢れる即興演奏もまた
その瞬間に生み出した勢い、みたいなものを音楽から感じ取る
事が出来て素晴らしいと僕は思います。
番組へのお便り、僕やSingへのご感想・ご質問どんどん待っていますので、
「SHIBUYA-FM GOOD WAVE係」まで、メール下さい!
お待ちしております!!
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