アーティスト名/タイトル/解説 |
収録曲 |
Jay Graydon/Airplay For The Planet
<解説>
超一流プロデューサーであり、またコンポーザーでも
あり、アレンジャー、ギタリストそしてエンジニアでも
ある天才ジェイ・グレイドンのソロアルバム。
このアルバムは90年度初めに一度メジャーレーベル
からリリースされているが、その時の「マスタリング
処理」が気に入らなかったということでジェイ自らが
マスタリングをやり直して、自身のレーベルから
新たに発売している。超完全主義であるジェイの
職人的音楽世界がアルバム全編を通して展開
されているが、楽曲は非常にパワフル&メロディ
ックな曲が揃っている。
ギターもパッと聞いただけだと
とてもメロディアスなだけに感じるが、実際に分析
したりコピーしたりすると、とても難解に弾かれている
パートも沢山ある。2曲目では最大10本位のギターが
ダビングされている。7曲目のギターソロは絶品。
4曲目はアース・ウィンド・ファイヤーに楽曲提供した
曲で、大ヒットを記録している。アルバム全体は
打ち込みをベースに作られていると思われるが、
この打ち込みのレベルが高い!とてもクールな
シンセ・オーケストレーション・トラックを聞く事が
できます。大体、プロデューサーとしてもコンポーザー
としてもエンジニアとしてもグラミー賞とる人なんて普通
いないですよね?ホント凄すぎです。
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1. Walk the Wire
2. She Just Can't Make Up Her Mind
3. History
4. After the Love Has Gone
5. Holdin' On to Love
6. One Way or Another
7. Roxann
8. Show Me the Magic
9. You're Not Alone
10. When You Look in My Eyes
11. I Do |
Donald Fagen/The NightFly
<解説>
これまた超職人的ミュージシャンの登場です。
スーパー完全主義と言われているユニット、
スティーリーダンのキーボーディスト、ドナルド・
フェイゲンのソロアルバムですが、まずアルバム
全体を通して捨て曲が全く無い!無駄に曲数ばかり
を揃えるのではなく、本当に良い曲だけが良い曲順
で並んでいます。この都会的な雰囲気は独特の
コード・ボイシングのとり方にあるのですが、アレンジ
の勉強としてとてもこのアルバムは為になりました。
分数コードの他にアッパーストラクチャー・コード等も
登場してきて、コピーするにもまずピアノの鍵盤を
押さえるのが大変(笑)。
しかし、そんな専門的な事を気にしなくても
都会の夜に洒落たお店でお酒を楽しむような雰囲気に
ぴったりの一枚です。絶対的にお勧めの一枚です。
一曲目はレゲエ調でCMでおなじみですね。3曲目は
都会的なアーバン・ブルース。4曲目はピアノが効い
た、超お洒落なバラード。タイトル曲でしびれた後には
7曲目でラテンの血が騒ぎ、8曲目でジャジーで
終わる。バック・ミュージシャンも超一流プレイヤー
ばかりです。とにかく最高!!
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1. I.G.Y
2. GREEN FLOWER STREET
3. RUBY BABY
4. MAXINE
5. NEW FRONTIER
6. THE NIGHTFLY
7. THE GOODBYE LOOK
8. WALK BETWEEN RAINDROPS |
Def Leppard/HYSTERIA
<解説>
ロックというジャンルで一番ヒットしたアルバム
はこのデフ・レパードの「ヒステリア」ではない
でしょうか?このアルバムも捨て曲が少なくて、
最初から最後まで一気に聞けちゃう所が良い
ところですね。また、プロデューサーのマット・
ラングの音作りが過激で、打ち込みを多用した
アレンジが多いですが、とてもパンチが効いて
いて、シンセや打ち込みが入っているからといって
ハードな音は作れないという事は間違いである事を
証明してくれました。また、このアルバムから
僕は「アンサンブルの重要性」を学びました。
どんなに名プレーヤーがいても、バンド・アン
サンブルが揃っていないと曲や演奏が死んで
しまう・・・このアルバムではそんなことを気付
かせてくれました。ツイン・ギターのバッキング
フレーズの作りかた、重厚なコーラス・ハーモニー、
デジタル・ドラムのカッコ良さ、そしてボーカルの
ジョー・エリオットのブルージーな歌い方、ミックス、
全てが完全に調和していてかっこよく、メロディアスで
そして斬新なロックというものをこのアルバムでは
聞く事が出来ます。4曲目のバラードは大ヒット。
僕は1・2・7曲目の重厚感と、5曲目のロックンロール
な感じが気に入っています。 |
1. WOMEN
2. ROCKET
3. ANIMAL
4. LOVE BITES
5. POUR SOME SUGAR ON ME
6. ARMAGEDDON IT
7. GODS OF WAR
8. DON'T SHOOT SHOTGUN 9. RUN RIOT
10. HYSTERIA
11. EXCITABLE
12. LOVE AND AFFECTION |
Tuck & Patti/The Best of Tuck & Patti
<解説>
計算しつくされたアレンジに豪華なオーバーダビングの
世界も感動的ですが、ギター1本をバックに歌う、という
のもまた感動的です。このタック&パティというユニッ
トは夫婦たった2人で結成されているデュオで、ジャズ
のスタンダードやポップス曲を独自のアレンジで演奏
しています。中でも凄いのは妻のパティの歌の巧さと
それを支える夫タックのギターバッキングの超絶テク
ニックです。恐らくアコースティック系ギタリストの中で
最も技術的に巧いのがタック・アンドレスだと思います。
なんといってもギター一本という意識で聞かなければ、
まるでバンドがいるかのように聞こえてきます。
ベースを弾きながら、ドラム的なリズムを弾いて、
同時にコードを弾きつつメロディーを重ねていく・・・
何度も言いますが、ギター「一本」でオーバーダビング
無しでやっているのです。
これは驚異的としかいいようがありません。
ギターだけに気をとられていると、ボーカルのパティー
による最高の歌を聞き逃す事になるので注意が必要
です。2曲目はシンディー・ローパーのヒット曲の
カバーですが、はっきり言って、オリジナルよりも
こっちの方がカッコいい!
ブルーノートでの彼らのライブは毎回見に行ってま
すが、ライブの最後でこの「Time After Time」を
お客さんも含めて全員で合唱するんですが、ライブが
終わった後とても晴れ晴れとした気分になります。
ギター一本とボーカルだけでこんなことが出来るのか、
と感動します。ベスト版なので良い曲ばかり揃って
いるし、路上アーティストの方達にも是非聞いて
頂きたい絶品の一枚です。
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1.Tears of Joy
2. Time After Time
3. Castles Made of Sand/Little Wing
4. Better Than Anything 5.Takes My Breath Away 6.Europa
7. Dream
8. Love is the Key
9. Sitting in Limbo
10. Sweet P
11. Love Warriors
12. As Time Goes By |
Yngwie J. Malmsteen's
Rising Force/Odyssey
<解説>
高校生の時に初めて聞いたハード・ロックの
アルバムです。まず、ジャケット写真に引きこ
まれました。黒い衣装に、十字架をつけて、
悪魔のような表情で写るこのイングヴェイという
人は何者なんだろう?と思いながら恐る恐る
CDプレーヤーにCDをセットした記憶があります。
この人は超テクニカルギタープレーヤーなのですが、
まだ高校生でギターもやっていなかった僕にとっては
その凄さは解りませんでした。というか、その頃の
音楽の聴き方は間違っていなかったと思います。
ギターをちょっと始めると、ついギターばかりを
最初に聞いちゃって音楽そのものを聞かなくなる
傾向ってありますから・・僕はギターを始めるのが
19歳と遅かったのでそれまでの間に曲そのものを
聴く癖が出来ていたようです。
実際問題、ギターに関しては今聞くといつもの繊細
さがやや薄れていて結構荒いです。しかし、1曲目
のイントロ〜11曲目までの流れはその荒さが逆に
心地良く聞こえます。12曲目はクラシック・ギター
の小曲です。イングヴェイ本人はこのアルバムを
気に入っていないようですが、僕はとても良い
ロックアルバムだと思います。
高校生の時初めてこのアルバムを聞いた時、
特に5曲目〜6曲目の流れを聞いた時は
「これは悪魔の聞く音楽だ」と真剣に思ったりも
しましたが(笑)僕はそれまでユーロビートやハウスを
中心に音楽を聞いていたので、こういう歪んだ音へ
すんなりと入って行けなかったのかもしれません。
他にも沢山ロックの名盤はありますが、
このアルバムを聞いたのがきっかけで僕はギターを
やりたいと思ったし、ロックを沢山聞いてみよう!という
興味も出てきたので、そういった意味でとても僕には
重要なアルバムだと言えます。 |
1.Rising Force
2. Hold On
3. Heaven Tonight
4. Dreaming (Tell Me)
5. Bite the Bullet
6. Riot in the Dungeons
7. Deja Vu
8. Crystal Ball
9. Now Is the Time
10. Faster than the Speed of Light
11. Krakatau
12. Memories
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Mary J.Blige/Share My
World
<解説>
驚異的なサウンド・プロダクションでR&Bシーン
に登場し、今最も勢いのあるプロデューサー、
ロドニー・ジャーキンスが手がけたアーティスト、
メアリー・J・ブライジのヒットアルバム。
2曲目は多くの人が聞いたことがあるでしょう。
6曲目のタイトル曲ではクラシック的なハーモニーに
加えて、ジャーキンス独自のコード・ボイシングが
印象的です。このコードは聞いたところ本人も
聞き取れないというものだそうでかなり独特な
ものですが、とてもヒップホップのテイストを
出す事に成功していると思います。
ヒップホップにはクラシカルなテイストも結構合う
ということを僕はこのアルバムで知ることが出来ました。
ロドニー・ジャーキンスは若い頃にクラシックピアノを
やっていたそうで、クラシックを本格的に勉強していた
人が曲を作ると予想もつかないハーモニーを
作り出したり、楽器を弾いても音感が強いので簡単に
難解フレーズを弾きこなしたりしてびっくりすることが
ありますが、 ロドニー・ジャーキンスはクラシックピアノ
で学んだ事を曲作りやプロデュースに上手く生かして
いるビッグ・アーティストの一人です。
しかし、このアルバムはクラシック以外にもブルースや
ジャズ的なハーモニー、リズムも聞くことが出来ますし、
プログラミングによるシーケンスやミックスも非常に
レベルの高いものになっています。
メアリー・J・ブライジのボーカルはチャカ・カーンに
影響を受けているのでは?と思わせるところも
ありますが 非常に存在感があり、アーティストとしての
風格を漂わせています。
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1.Intro
2. I Can Love You
3. Love Is All We Need
4. Round and Round
5 .Share My World(Interlude)
6. Share My World
7. Seven Days
8. It's On
9. Thank You Lord(Interlude)
10. Missing You
11. Everything
12. Keep Your Head
13. Can't Get You off My Mind
14. Get to Know You Better
15. Searching
16. Our Love
17. Not Goin' Cry
18. A Natural Woman |
Chaka Khan/The Woman I Am
<解説>
「What Cha' Gonna Do For Me」も名盤ですが
僕にとってチャカ・カーンのベストアルバムはこの
「Woman I Am」です。 楽曲もパワフルな曲が揃って
いて、1曲目のグルーブでもうアルバムの中に
入り込んでしまいます。
4曲目のギターはかなり真剣にコピーしました。
ミディアム16ビートの上で少しジャズ的なフレーズも
ありつつ、 これぞスタジオミュージシャン!っていう
ソロが展開されています。
5曲目はかなりロックサウンドですが、バックトラックも
含めて完全コピーしました。
チャカ・カーンの凄い所は単なるファンクにとどまって
いるのではなく、やる気になればハード・ロックでさえ
演ってしまうところですね。 別なアルバムでは
元Wingerのレブ・ビーチがギタリストとして参加している
曲もあるくらいですから。
6曲目は一点してハネもののファンクで、このノリは
単に16分シャッフルで打ち込んでも再現できません。
ステップ・タイムの取り方をかなり研究しました。
しかし、僕がチャカカーンを好きなのはサウンド的な
事よりも、まずその「歌声」なのです。
こんなにもパワフルで、音程がしっかりしていて
リズムがカッコいいボーカルを僕は他に知りません。
R&Bボーカリストは沢山いますが、チャカ・カーンよりも
技術的に巧い人はいないんじゃないでしょうか?
ダンサブルな曲の上で歌うチャカのボーカルはまるで
リズムの上を「歩いているよう」です。
完全に自分の実力の2割程度に力をセーブして
楽に歌っているのが伝わってきます。
それは手抜きなのではなく、高いレベルの音楽家
だからこそできる「余裕」なのです。
チャカ・カーンのアルバムではファンクやダンス、
ハードロックにブルース、ジャズまで聴くことが
出来ます。きっとこの人はやる気になれば
クラシックまで歌いこなすことが出来るでしょう。
チャカ・カーンに歌えない歌は存在しないのです!
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1.Everything Changes
2. Give Me All
3. Telephone
4. Keep Givin' Me Lovin'
5 .Facts Of Love
6. Love You All My Lifetime
7. I Want
8. You Can Make
The Story Right
9. Be My Eyes
10. This Time
11. The Woman I Am
12. Love With No Strings
13. Don't Look At Me
That Way |
THE CORRS/Talk On Corners
<解説>
僕がばりばりのハードロックをやっていたバンドマン
だった頃、お気に入りのレコード・ショップで偶然
かかったCORRSの「Runaway」という曲にノックアウト
されてしまって、それが僕がポップミュージックに
のめりこんだきっかけだったと思います。
それまではやっぱりハードロックが一番好きだった
のですが、ギター云々というよりは「メロディーの
美しさ、アレンジの良さ」にかなりのウェイトが
置かれるポップミュージックという器の中で
ギターをきちんと弾く、というスタイルが現在の僕の
ギタースタイルにもなっています。
この「Talk On Corners」というアルバムは
デビューアルバム「Forgiven Not Fogotten」に続く
2枚目のアルバムなのですが、1枚目の
プロデューサーであるデビット・フォスターに加えて
数人のプロデューサーが入って作られていますので、
若干フォスターの色が薄い作品になっていますが、
それでも随所随所にこれぞデビット・フォスター!
という音を聞く事が出来ます。
実はこの後に出す3枚目ではマット・ラングが
プロデュースを担当していて、サウンドがガラッと
(本当に凄い変化!)変わってしまっています。
僕としてはこの2枚目のアルバムが1枚目と
3枚目の中間にあたるようなサウンドの位置づけで、
「メロディアスでもあるし、元気で明るい雰囲気の
曲もある」という感じでとらえています。
コア−ズのメンバーは「デビット・フォスターから
メロディーを美しくすることを学んだ」と言って
いるようですが、 これは絶対に正解で、
フォスターの曲はこのアルバムに限らず
殆どがとてもメロディアスな仕上がりに
なっています。これはメロディーライティングの
才能に加えて、メロディーをより美しく聞かせる
為のアレンジの技術も素晴らしいからだと
思います。 なにげにギターも「必要な時に
必要なだけ弾く」という姿勢が徹底されていて、
無駄に音を使っていない点がとても良いと
思います。勿論、コーラスアレンジも良いし、
シンセのフレーズ等も良いものが
沢山ありとてもお勧めです!
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1. Only When I Sleep
2. When He's Not Around
3. Dreams
4. What Can I Do
5. I Never Loved You Anyway
6. So Young
7. Don't Say You Love Me
8. Love Gives Love Takes
9. Hopelessly Addicted
10. Paddy McCarthy
11. Intimacy
12. Queen Of Hollywood
13. No Good For Me
14. Little Wing
15. Remember
16. What I Know
17. Dreams(Tee's Radio Mix) |
Joe Satriani/The Extremist
<解説>
ロック・ギター・アーティストのインストアルバムですが、
僕はジョー・サトリアーニの凄いところは、彼が
「ギタリスト」ではなく「アーティスト」として世間で
認知されているということだと思います。
サトリアーニはギター講師としても教本をリリース
したり、スティーブ・ヴァイを代表とした数々の
名ギタリストを育てています。 従って当然
ギターテクニックもかなり優れているのですが、
殆どのテクニカル・ギタリストのリリースする作品が
「ギターテクニック」に論点が行きがちな中で、
(中にはCDのブックレットの中に曲中のテクニカル・
フレーズの解説と楽譜が書いてあったりします)
サトリアーニの作品は「楽曲」として世間で認知され、
「サーフィン・ウィズ・ジ・エイリアン」というアルバムは
アメリカでチャート・インする快挙を成し遂げています。
これはいくつか原因があると僕は思いますが、
「楽曲の仕上がりを大事にする」姿勢と、
「”ギターソロ”ではなく、”メロディー”を弾く」姿勢が
サトリアーニは特に優れているのだと思います。
4曲目の「Cryin'」を聞いていると3大ギタリスト
ジェフ・ベックを思い出します。ピッキングの強弱の
つけ方、ピッキングするところをあえてハンマリング
で弾くことによってメロディーの流れをなめらかにする
等、サトリアーニのテクニックはぱっと聞いただけでは
その凄さがなかなか解りにくいですが、「スウィープ・
ピッキングをクリアに弾く努力」の何十倍も努力を
しないとこの領域には近づけないと思います。
このアルバムの楽曲は3分台の曲もあったりと
必要以上に曲のサイズも長くなく、言いたい事を
必要最小限で語る、というシンプルさが徹底されて
いてとても良いと思います。またサトリアーニというと
ギタリストの間では「モード奏法」のスペシャリスト
というイメージがありますが、このアルバムでは
モード奏法も勿論登場しますが、全体的にブルージー
なアプローチがされていて、ブルーノートフレーズ
等も頻繁に登場し、良いフレーズがかなり登場します。
ギターの音色も僕個人的にはヒット作の「サーフィン
・ ウィズ〜」よりもこのアルバムの方がナチュラルな
音が多く、気に入っています。
サトリアーニのギターは全体的にとても繊細で、
きっとサトリアーニ本人もとても繊細な人なのでしょう。
イングヴェイ・マルムスティーンの思い切りの良さとは
また一味違うギターの良さが楽しめるアルバムです。 |
1. Friends
2. The Extremist
3. War
4. Cryin'
5. Rubina's Blue Sky Happiness
6. Summer Song
7. Tears In The Rain
8. Why
9. Motorcycle Driver
10. New Blues
11. Crazy |
The Mark Varney Project/Centrifugal
Funk
<解説>
”最もテクニカルなギターアルバムは何か?”と
聞かれたら、このアルバムが僕の脳裏に蘇る一枚
になります。超ハイテク・ギタリストフランク・ギャンバレ
と、ショーン・レーンが中心になってJazz/Fusionの
スタンダードからオリジナルまでを演奏している
アルバムですが、ここで耳にすることのできる
ギターは、圧倒的なテクニック、フレーズのスピード、
正確さを兼ね揃えながら、聴く者の耳に
飛びかかってきます。
ハイテクニックと言っても、いわゆる ”イングヴェイ系の
クラシカル・フレージング”とは全く異なって、メロディー
感はあくまでもJazz/Fusionなのですが、音はオーバー
ドライブ&ディストーション・サウンドで音数の多さと
いったら一体一秒間に何回ピッキングしてるんだ
この人は?というかの有名なゲーマー、高橋名人を
思い出してしまうほどに超スーパー速弾きの連続が
アルバム全体を通して行われています。
特に3曲目のソロは凄まじいものがあります。
ショーン・レーンもフランク・ギャンバレもハンマリング・
プリング・スライド等のフィンガリング中心の演奏では
なく、どちらかというとピッキングを多用するタイプだと
僕は思いますが、ショーン・レーンは場合によって
指を使ってピッキングしたり、通常ダウン・ピッキング
からスタートするフレーズをあえてアップピッキングから
弾いたりなど変則的な奏法が目立ちますが、
この人のギターははっきり言ってフレーズの速さだけ
だったらクリス・インペリテリ以上か?と思います。
使用するスケールもホールトーン・スケール等の一風
変わったフレーズが多いので、ショーン・レーンの
ギターを聴くと、宇宙空間にワープしたような気分に
なります。左手のストレッチフレーズ等も強力で
アラン・ホールズワース風の変態フレーズが多いです。
フランク・ギャンバレはさすがにギター講師をやって
いるだけあって(ポール・ギルバートを教えたと
聞きましたが)、通常のジャズ的なフレーズも
当たり前のようにこなせるし、それに加えて
テクニカルな要素を加えているような感じの演奏が
主体になっています。アドリブの組み立て等も
コール&レスポンス等のメロディック・フェイクに
独自のセンスを感じます。
ギター奏法としては「スウィープ・ピッキング」が
この人の大きな売りでジャズ・フュージョン系の
音程差の少ないメロディアスなフレーズと、
ハードロック系の音程差の大きい3和音の
アルペジオを足して2で割ったような
フレーズが多く、4〜5和音コードでありつつ、
ハードロック系ギタリストもびっくり の音程差の大きい
ブロークン・コードがかなり登場します。
また、ノーマルなペンタトニック・スケールの演奏等も
フランク・ギャンバレにかかればとたんに
スウィープピッキングを活用した超テクニカルな
フレーズに変身します。
速い&テクニカルなギターがどうの〜〜という前に
一度聞いてみたほうが良いかもしれませんよ!
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1. Actual Proof
2. So What
3. Hey Tee Bone
4. Tokyo Blue
5. Splatch
6. Elegant People
7. Lane's Blitz
8. Lovestruck |
come away with me/Norah Jones
<解説>
このところ、僕の興味は「歌声」そのものに集中している
ようで、カッコいいコード進行や、フレーズ等よりも「歌」
がどうなのか、という事が一番気になりますし、また歌
を大事にしているサウンドに強く惹かれます。
このノラ・ジョーンズという方、新人ジャズ・ボーカリスト
として数々の賞をとっていますが、僕としては「ジャズ」
という言葉よりも「歌手」としてこのアーティストをとらえ
ています。僕にとってはCDを聞く限りだと、この音楽は
あまりジャズには感じられませんでしたが、
とにかく歌が素晴らしく良い!
どちらかというと、キャロル・キングに近いポピュラーな
感じを受けました。但し、アレンジはとてもシンプルで
ギターとピアノにベース、コーラスだけでハーモニーを
作っている曲が多いです。余計なオーバーダブは一切
ありません。アレンジがシンプルになればなるほど、
歌と歌詞に興味が移りますが、ノラ・ジョーンズのボー
カルは、チャカ・カーンのように圧倒的な歌声で攻めて
くるのではなく、ソフトな歌声で優しく歌い上げる
感じです。それがなんとも独特の雰囲気を持っていて
良いです。声質に丸みがあるというか、
聞いていて気持ちが良いです。
曲自体もジャズ風というよりはむしろフォーク風な曲も
あったりします。これはハーモニーがあまりジャジーな
テンション・コードを使っていない曲が多く、
フレーズもいわゆるビバップ・フレーズ等が登場して
こないので、ジャジーとは正直言えませんが、
むしろ僕にはこのシンプルさがかなり良いんです!!
アレンジもシンプルな中にちょっとしたニクイ、
コードの内声の動きだったり、ドラムのリバーブの
感じが気持ち良かったりと、飽きの来ないものに
なっています。 ノラ・ジョーンズのピアノとギターの
バッキングが良い感じでからんでいて、生演奏の
良さを再認識させられます。打ち込みのアレンジ
だったらこういう発想はなかなか出てこないでしょう。
1曲目の開始20秒でこのアルバムは良い!と
思わせるオーラがこのCDにはあります。
とても心地よいです。
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1. Don't Know Why
2. Seven Years
3. Cold Cold Heart
4. Feelin' The Same Way
5. Come Away With Me
6. Shoot The Moon
7. Turn Me On
8. Lonestar
9. I've Got To See You Again
10. Painter Song
11. One Flight Down
12. Nightingale
13. The Long Day Is Over
14. The Nearness Of You
15. What Am I To You |
IRREPLACEABLE/George Benson
<解説>
歌も曲もギターも打ちこみもバックの演奏も何もかも
上手い!!一体何なんだこのアルバムは!!
個人的には名作「ブリージン」に優るとも劣らない
アルバムに仕上がっていると思います。
ジョージ・ベンソンはまさに「天才肌」のアーティストで、
ウェス・モンゴメリーの後継者と言われてビバップ・
ジャズの完成形を示したギターフレーズを弾きまくった
後は、いきなりボーカリストとしてグラミー賞を連発。
ボーカルのアドリブをしながら、ギターでそれと全く
同じラインをユニゾンで弾くフレーズは彼の十八番の
フレーズになっています。このアルバムでもその
フレーズは十分に味わうことが出来ます。
どちらかというと、本作は「曲重視」の内容に感じま
すが、ほんのちょっとした曲の隙間に埋め込まれて
いるフィルインのギターフレーズのレベルの高さは
驚異的です。きっとベンソンにとっては「余裕の
ヨッチャン」で弾いているんでしょうが、これはそう
簡単には弾けないですよ。
ヒップホップ的なグルーブにきちんと乗った上で
スーパー・フレーズが連発するのだから、もう
何も言えません。ギターの事を何にも知らない人
でも純粋なヒップホップのアルバムとしても
楽しむことが出来ます。
ボーカルがまたメロディアスで!!ブルージーな
フェイクもソウルが感じられるし、高音の声を張った
所の声質がまたカッコ良いんですよね。
ギターとボーカルのユニゾンフレーズに関しては、
例えばスケール上昇フレーズを弾く(歌う)にしても、
強弱がしっかりつけられているので、とても
メロディアスに聞こえます。また、全てが余裕で
演奏されていると思われ、演奏の難しさというものを
通り越した上の表現力というものを堪能出来ます。
バック・ミュージシャンには今最も注目されている
ベーシスト、リチャード・ボナが参加していますが、
ベースが上手い!十曲目はベンソンのギターと
バトルするような形でかなり弾きまくってますが、
普通にグルーブするフレーズもとてもレベルが
高いものになっています。
一曲の中で複数のボーカルを使い分けるという
アプローチも心地よく入りこんで聞くことが出来ます。
また、バックトラックの中に入っている楽器数は
そんなに多くないですが、一つ一つの楽器のレベル
が高すぎるので逆に少ない事によって「空気感」を
感じたり、各楽器のスーパーフレーズを存分に
堪能することも出来ます。
しかし、メロディアスなアルバムだな〜〜、凄すぎる!! |
1. Six Play
2. Whole Man
3. Irreplaceable
4. Loving Is Better Than Leaving
5. Strings Of Love
6. Cell Phone
7. Black Rose
8. Stairway To Love
9. Reason For Breathing
10. Missing You |